お知らせ

11月1日「福祉系・表現Ⅲ」のワークショップを開催しました

2018年11月7日

11月1日「福祉系・表現Ⅲ」のワークショップを開催しました。

ファシリテーターは、子どもワークショップで豊富な経験をお持ちの京都造形芸術大学名誉教授、水野哲雄氏さん。
実施にあたっては、静岡大学教育学部附属特別支援学校と連携し、同校の校外活動の一環として位置づけました。会場は教育学部の絵画大アトリエ。ワークショップで使う、段ボールなどの材料は、水野さんと事務局が前日のうちに準備しておきました。
9時30分に受講者(9名)集合。水野さんより全体の流れについての説明がありました。特別支援学校の生徒(16名)・先生(8名)・保護者(9名)は、10:00に大学に到着。10:30からワークショップ「紙とあそぼう」が始まりました。

導入は、新聞紙を使っての遊びです。
「新聞紙は楽器だよ」ということで、新聞紙1枚を手に取って、いろいろ働きかけることでどんな音が出てくるか試します。新聞紙が発する柔らかな騒音?によって一気に緊張がほぐれ、場が活気づきました。次に、その新聞紙をくしゃくしゃに丸め、また伸ばします。そしてもう一枚の新聞紙を細かく裂いたりちぎったりしたものを、先に丸めた新聞紙で包んで、ふっくらした立体にしてアトリエのどこか好きなところに置きました。そんなことで、子どもたちは、大学の教室という新しい環境になじんでいくことができました。
次に、前半のワークショップが始まりました。
1人1枚、A3の白い紙(コピー用紙)が配られます。水野さんは「色を付けてみようか」と投げかけましたが、参加者の多くは、会場にあるクレヨン(軸に巻いてある紙を剥がしてある)やマーカーなど素敵な画材を見つけ、手に取ると夢中で絵を描き始めました。15分ほどたって、水野さんが「自分の紙を破って、みんなの紙と混ぜ混ぜにしてみよう」のワークへ移ります。「いやだー!」という子もいて、それはそれでOK。破った紙を、別に用意したA3の紙に貼り合わせて、学年(グループ)ごとの合作ができました。そしてそれを、アトリエの壁に掲示。室内空間が子どもたちの色に染まり始めたところで前半が終了。
10分間の休憩の後、後半のワーク開始。
予め用意した、様々な形をした段ボールの断片を、参加者1人あたり8枚配布。
水野さんは、断片が「何に見えるかな。目・口・鼻・ネックレス・・・」と投げかけました。「段ボールを使って顔に見えるようにして下さい。合作の作品もあるね」ということで、子どもたちはイメージを膨らませてゆきました。そして「動物を作ってみよう」に移り、別の角度からイメージが刺激されます。
それらを踏まえ、「立体にして組み立ててみよう」というワークが始まりました。まずは接着剤を使わず、破片を互いに支え合うようにするなど工夫して、立たせようとします。子どもたちは、いろいろ試みますが、なかなかうまくいきません。そこで、水野さんは「裏技があります。ここに両面テープがあります。これを使ってやってみてください」と声かけしました。そして、「できるだけ高いものを作ってください。みんなで作ってもよいですよ」ということで、それぞれ思い思いに取り組みました、
90分の時間も瞬く間に過ぎて、最後に、互いの作品を鑑賞し、「重力に逆らって、立ち上がることは、それだけでも素晴らしいことです。実に、美しい」という水野さんの言葉で、特別支援学校小学部の生徒との交流するワークショップを終了しました。

午後は会場を教室に移して、受講者による「振り返り」の時間です。
まず、今日の流れが事前に用意した進行表から離れ、臨機応変の対応をした理由について説明があり、また水野さんが別の場所で行った同種のワークショップについて動画による紹介がありました。
受講者との質疑応答の時間も十分にとって、実際にワークショップに参加しての感想や気づきなどについて丁寧に話し合うことができました。水野さんからは、「活動のさなかに予定外のものが生じた場合は、そのことを大切にする」、造形ワークショップは「遊びであってほしい。子どもたちが自ら気づいて、遊びを見つけて行動する」「リラックスして自分を出していいという身持ちにさせる」「造形活動をしていなくても、皆と一緒にいることで、その子なりに感じている」など、多くの示唆に富む言葉が発せられました。本ワークショップは小学部の学年ごとに担任の先生と保護者がつく中で、受講者は自らのスタンスに戸惑いつつも、子どもたちの動きをよく観察し、また水野さんの豊かな経験に裏打ちされた事前準備や、包容力のある的確な判断によく注意を払っていたことが分かる振り返りの時間でした。