お知らせ

9月25日「伝統工芸」のワークショップを開催しました

2018年10月3日

9月25日、駿河凧の継承者・後藤光さん(5代目・絵師)を講師にお招きし、ワークショップを開催しました。

まず、駿河凧の発祥(今川義元の先勝の祝いだと言われている)や「凧八」の歴史、特徴などについて基本的なことを学びました。受講者のみなさんも静岡に住んでいながら、知らないことが多かったのではないでしょうか。

さあ、ワークショップです。受講者は、講師の用意した線描きの絵(武者絵、歌舞伎絵)に凧の形状をした和紙を重ね下絵を描き入れていきます。太筆を使ってトレスする、ただこれだけのことが思うようにすすまず、絵師の技法の高さを思い知らされます。
続いて、その下絵に4本の竹ひごをつけていきます。糊の量(表に描かれた武者絵などの顔にあたる部分には糊を付けないなどの注意が必要)、左右のバランスもさることながら、節の位置を左右同じするなどのポイントがあります。自然素材を使うということは、ただパーツを組み立てればいいというのではなく、その行為一つひとつに意味があることを知ります。感覚だけで作業を行うと凧が思うように揚がらないのです。

続いて、描いた絵に、色をつけていきます。想像と違っていたのは、凧に竹ひごを取り付けたあとに色をつけていくという順のことでした。色づけは、薄い色からつけていくこと。色は混ぜない、手早く塗る、ぼかしのときには平筆の半分に絵の具、半分に水をつけるなどの独自の手法があります。
仕上げの揚げ糸(これにもいくつかのポイントがあります)をつけて、さあ、完成。ここまでで、延べ6時間。今回は凧揚げをしている時間はつくれませんでしたが、さて、うまく揚がるでしょうか(笑)。時間があれば、受講者みんなで揚げてみたいと思っています。

ところで、凧というと、すでに昔のあそびであり、伝統的な技法という枠の中に閉じ込められたものというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。果たしてそうでしょうか。例えば、2018年3月にはパレスチナ自治区ガザ地区南部のハンユニスで、東日本大震災から7年の節目に合わせて、日本との連帯を示す凧揚げ大会が開かれたことをご存知でしょうか。あるいは、遠藤一郎というアーティストは、参加者とともに凧に未来を描いて揚げるプロジェクト「未来龍大空凧」を各地で開催しているのをご存知でしょうか。これらは、伝統工芸の枠を超えての取り組みの一例です。

今回は、徹底して伝統工芸の型をなぞり、その手法について学びました。アートマネージャーには、伝統工芸の技に敬意を払いつつも、つねに新しい時代の空気を取り入れていくミッションがあります。「型があるから型破り。型がなければ、型なし。」ということなのです。