お知らせ

9月18日「『積層』をキーワードにモノ・コトを考える。〜学校という『場』において〜」のワークショップを開催しました

2018年9月21日

奈木和彦ワークショップ「『積層』をキーワードにモノ・コトを考える。〜学校という『場』において〜」

9月18日(火)に、美術家の奈木和彦さんを講師に迎え、美術分野のワークショップ「『積層』をキーワードにモノ・コトを考える。〜学校という『場』において〜」を開催しました。
奈木さんは、静岡を拠点に、絵画を独自の切り口で捉え直す試みや、サイトスペシフィックなインスタレーションなど幅広い活動を展開している作家です。
まず導入として、このワークショップの趣旨と流れが説明されました。次いで自己紹介を兼ね、スライドで自身の活動が手短に紹介され、また「積層」という視点のみならず、「並列・連続」の観点からもアメリカのポップ・アートの巨匠アンディ・ウォーホルの作品が読み解かれました。
続いて前半のワークショップに移ります。
まず個人のワーク。「学校」との関係において、「積層」という言葉から連想されるモノ・コトについて自由に思い浮かべます。そして年齢・性別・職業などを異にする4・5人のグループに分かれ、それぞれ「積層」「学校」について協議。そこで浮かんだワードを付箋に記し内容によって分類していきました。
(その間、奈木さんは、「積層」「学校」「積層・学校」等について、あらかじめ用意した言葉を次々と板書。)
それを経て、また個人のワーク。グループでの話し合いを踏まえて、発表を前提に、アイデアスケッチや言葉や文章に起こしていきました。現実的でないプランも可、最終的な形態を示す必要もないとのこと。

休憩を挟み、後半のワークが始まりました。
グループごとの付箋を貼ったA3の紙が黒板に掲示されることで、参加者のブレーンストーミングの結果が明らかになりました。
続いて奈木さんによる実技? ガラスの皿に廃油が注ぎ込まれ、そこにオブラートをリング状に並べてゆきました。オブラートの既成概念が破壊され、その二つの物質は、通常あり得ない関係性のなかで名状しがたいモノのリアリティを出現させました。
その後、「学校×積層」の実例として、小学5年の時に奈木さんを変えた、学校でのある「積層」が紹介されました。それは、古びた3冊の日記です。それまで手に負えない問題児だった奈木さんは、新たに担任となった先生から毎日日記を書くように言われ、また先生が朱筆で毎日コメントを入れて下さったという、その実物です。1年間通して、学校で朝と夕方、一緒にグラウンドで走って下さったことも一種の「積層」といえるでしょう。日記をずっと取っておいた母親の愛情にも胸を打たれますが、担任の先生の愛情に一同驚嘆。1人の小学生の古い日記に過ぎないのに、提示の仕方によって普遍的なメッセージに変わるということがよく解りました。
次いで、「積層」と「学校」の関係性を、グループから1人の代表が立って約3分間で発表。奈木さんがコメントを加えてゆきました。
最後に、「積層」に関連する奈木さんの作品とコンセプトが、スライドトークの形で紹介されワークショップは終了。
美術分野のワークショップなのですが、ここでは何も作らず、ひたすら「積層」と「学校」との関係についてブレーンストーミングを重ねました。参加者は美術に詳しい人ばかりではないので、当初、難しい課題かもしれないと感じていたのですが、始まってみると、ここで扱う内容についての奈木さんの周到な準備と流れについての予想、そして現場での余裕を持った臨機応変の対応によって、参加者は無理なく課題の意図をつかむことができたように思います。