お知らせ

7月23日「美術Ⅹ」を開催しました。

2018年7月29日

井上明彦ワークショップ「水から/水へ」

 

7月23日(月)に、美術家であり京都市立芸術大学教授の井上明彦さんを講師に迎え、美術分野のワークショップ「水から/水へ」を開催しました。内容は、前半は講義、後半はワークショップです。

講義では、レオナルド・ダ・ヴィンチが晩年に描いた「洪水」のドローイングと幻に終わった「水の書」を導入とし、先の西日本豪雨による大水害にも絡めて、「水」が人間の生存にとって根源的なものであることに注意が促されました。また「水」の科学的な物性や身体と水の関係について説明がありました。

次いで、井上さん発案の京都芸大「@KCUAプロジェクト」を例に、「水」が大学の理念をシンボリックに示し、さらにそれが地域社会との関係と結びついていることが紹介されました。続いて、「水」がご自身のアートプロジェクトにおいて重要なテーマの1つであること、またそれが都市や集落の歴史/記憶/生活と深く結びつく形で展開されていることがスライドを使って紹介されました。

アートと他の領域を「地続きに考える」こと、また西アフリカではアーティストのことを「忘れない人」と呼ぶという発言が印象に残りました。

後半取り組んだ最初のワークショップは「水になる」です。『原初生命体としての人間―野口体操の理論』で知られる元東京芸大教授、野口三千三の言葉を糸口に、受講者が、水入りゴムチューブを体にまとうことで体の中の水を感じるワークをおこないました。グループワークでは、そのチューブの不思議な弾力や水の性質にあちらこちらで歓声があがりました。

次いで、1960年代以降のアートシーンで特筆されるフルクサスの運動に参加したアーティスト、現在は京都芸大の特別招聘研究員でもある塩見允枝子さんのスコア/パフォーマンスの紹介がありました。塩見さんの作品は、言葉がスコア(楽譜/インストラクション)でその解釈は他者に委ねられるとのこと。その中から、「1.水にかたちを与える 2.水にかたちを失わせる」というスコアの紹介があり、井上さんはそれに、「コップ一杯の水から」という条件を加えて、受講者に投げかけました。受講者は、それぞれのやり方で、事務局と講師が用意した準備物や水から持参した物品を使い、「演奏?」を試みました。

スコア/インストラクションを示されてから「演奏?」まで30分余りの時間しかありませんでしたが、受講者は柔軟な思考と感性を発揮して様々な「解釈」を展開しました。

「自分と違う発想に触れることが大事」ということで、全受講者はそれぞれの演奏/パフォーマンスを紹介し活動を終えました。