お知らせ

7/9 基礎講義4「ユニークベニューの開発と実践」を実施しました。

2018年7月21日

7月9日(月)に静岡市駿府城公園にある紅葉山庭園茶室にて、3回目の基礎講座として「ユニークベニューの開発と実践」を行いました。今年度は、平成28年度、29年度受講者の柳本良男さんによる「受講者企画」という位置づけです。内容は、柳本さん自らユニークベニューの試みとして、昨年11月に静岡市清水船越堤庭園茶室で実施したパーカッションと朗読によるコラボレーション「お茶室ライブ」をベースとし、静岡大学の白井、平野、井原と協働し発展させたものです。
パーカッショニストは静岡県出身、国内外で精力的に演奏活動を展開している永井朋生さん。朗読は静岡県舞台芸術センター俳優の片岡佐知子さん。朗読のテキストは、志村ふくみ著「語りかける花」から2編の随筆がとられました。

床の間のしつらえは白井が担当しました。掛け軸に見立てたのは、静岡市在住で近年再評価が著しい「幻触」の中心メンバー飯田昭二さんの「地表図」(2004年)です。花は朗読のテキストから蓮としました。花入れは静岡市清水区在住のデザイナー・アーティストの大滝正明さん作「漆古竹花入」、またそれを藤枝市在住の彫刻家、杉村孝さんが見出した自然石「たまいし」と重ね合わせるように用いました。

会場は、静岡市が設置し静岡ビル保全株式会社が指定管理となって運営している、数寄屋造りの茶室「雲海」です。水屋側を除くすべての襖を外し、寄付・次の間・広間と入側・広縁を合わせ28畳余、また芝と苔の緑豊かな広間庭に面した開放的な和の空間。真ん中の次の間には一辺2mのパイプで組み立てられた立方体の中に、永井さんの楽器群が設置してあります。自然石、木、竹、貝殻、金属板、またガスボンベを加工して作った手作りの楽器や仏具のおりんなど、、、。茶室に入場した受講者は、楽器群も含むそのしつらえを楽しみ開演を待ちました。

開演の合図は、遠くから聞こえる篠笛の音。それがだんだん近づき、広間庭に面して上手から着物姿の片岡さんが笛を奏でながら広庭に現れます。下手からは丸い金属の楽器を演奏しながら永井さんが現れ、二人が出会い、縁側から茶室に入室。笛の音と澄んだ打楽器の音が室内に満ちてきます。
片岡さんは笛を収め志村ふくみ著「語りかける花」の演ずるような朗読になめらかに移行。永井さんのパーカッションは、あるいは言葉と重なりあるいはソロのインプロビゼーションとなり豊かな音色で空間を満たしてゆき、およそ1時間、妙なる音色と朗読のコラボレーションが繰り広げられました。

休憩を挟み、永井さん、片岡さん、柳本さん、白井によるパネルディスカッションが行われました。
柳本さんによる趣旨説明、永井さんとの関わり、また朗読テキストの選定にあたり片岡さんと偶発的に思いが一致したことについて紹介がありました。次いで、茶室を生かすためのそれぞれの工夫、開演前の庭園での演奏と茶室における本番との最適な関係の模索、また今回は音響にも力を入れ2年前の本事業で「音響」の講師を務めていただいた堀池龍二さんに担当いただいたことなどに話題が展開。また、静岡大学の白井からは床の間のしつらえについての解説があり、最後は、妙なる音色を表す言葉、岡倉天心の『茶の本』に関連してとられた「高山流水」をめぐる話題となりました。

「ユニークベニューの開発」という視点では、駿府城公園紅葉山庭園茶室はすでに音楽のコンサートなども開催できる場所なので、踏み込み不足という意見も寄せられました。ただここでは、「地域リソースの発掘・連関・創造」という意味で、床の間のしつらえと出演者の関係、また茶室の空間との間の最適な関係性を求めたこと、またなによりも受講者の方々に、それぞれの地域の「ユニークベニュー」の開発に向けて一つの具体例を提示できたのではないかと思っています。(写真撮影:石川綾子)