お知らせ

7/2 基礎講義1「アートマネジメントの課題をめぐって」を開催しました。

2018年7月10日

7月2日(月)静岡市葵生涯学習センター アイセル21で基礎講座を開催しました。

 

テーマは、「アートマネジメントの課題をめぐって」。講師は「渚と/nagisato」を主宰されている森隆一郎さんです。

森さんは、「渚と」のミッションを次にように説明されます。

「アートやカルチャーで社会の境界をなだらかに(渚化)していく(今のところ)個人ユニット」である、と。

 

1990年 江東区文化センターから始まり、ティアラこうとう、アサヒ・アート・フェスティバル、いわき芸術文化交流館アリオス、東京文化発信プロジェクト(後、アーツカウンシル東京の名称変更)などに関わり、現在では主に、渚と/nagisato、トーキョウアーツのれん会、及びティバレエ団/全銀座会などを活動の舞台とされるなど、日本の文化芸術の現場を牽引されてきた方です。

 

森さんは、一方通行の講義形式は取らず、つねに受講者に語りかけ続けます。

マネジメントとはなにか。何のためにアートマネジメントか。アートマネジメントは、アートをマネジメントすることなのか。アートマネジメントとは、社会の様々な関係を、アートを通じてマネジメントすることではないか。大切なのは、ミッション(現在の世界で何をするか)とビジョン(どんな未来をつくるのか)を明確にすることではないか。地域特性、社会の状況、時代性を鑑みて、社会に対してアートを通じて貢献できることはなにか? そうして、これら課題に対して受講者といっしょに考え続けます。

 

また、文化芸術活動における「儲ける」ことについて次のように教えます。

「経済資本(金銭的価値)、文化資本(知識・教養・技術など)、社会関係資本(コミュニティ・信用など)の3つを循環させ、人を幸せにすることである」と。とかく、「儲ける」話になると、経済資本にのみ話が行きがちですが、森さんの指摘で目から鱗が落ちました。このことをどのように「評価」と結びつけていくのかがわれわれの大きな課題になりそうです。

 

この他にも、2020年 東京オリンピック・パラリンピック競技大会について文化プログラムにも言及されました。

 

そうして、この日のまとめを以下のようにされました。

「マネジメントもやり過ぎは禁物」であると。そうして、「アートや人、街の関係性は、言葉で説明できるほど単純ではない。つまり、全てはマネジメントできない。アートについてマネジメントできることは、通奏低音を奏で、転調が必要なら、タイミングを誤らず勇気を持って転調できるようにしておくこと。そのために、常に観察を続けること、そして、経験を積むこと」。

 

森さんの問いかけへの誠実な回答とは、各々が現場で発生する課題と丁寧に向き合っていく態度そのものではないでしょうか。