お知らせ

1月29日「文学Ⅳ」のワークショップを開催しました。

2018年2月22日

「文学Ⅳ」ワークショップ  「江戸の本を読む」

アート系文学分野のワークショップとして、静岡大学教育学領域の高野奈未先生をお招きし、県下に数多く存在しながらも活用される機会の少ない江戸期の本(古典籍、和本)を地域リソースとしてとりあげ、往時の出版文化の豊かさや本の面白さを体感するワークショップを行いました。

前半の内容は、まず和本に関する基礎知識について説明があり、次いで、「くずし字一覧表」を参照しながら、版本の『百人一首』や『犬百人一首』のコピーをテキストとし読解を試みました。その後、先生が所有する様々な判型の和本が回覧され、受講者はそれを実際に手にとって感触を確認。また後半で扱う、静岡大学附属図書館収蔵の「原家旧蔵江戸後期芸文資料」の特徴を解説していただきました。

後半は、和本の書型、表紙、綴じ方など、外側から窺えるポイントについての解説を枕に、本を実際に観察し「本の紹介シート」を作成するというワークが行われました。資料は、駿河国駿東郡大平村 (現静岡県沼津市)で名主を務めた原家旧蔵になるものです。高野先生によって、それぞれ特徴のあるものが人数分抽出されていました。「本の紹介シート」は、その本の特徴を捉えた上で、幅広い読者にその魅力を伝えるための「キャッチフレーズ」を考えること、そしてその「みどころ」と「気づいたこと」を簡潔にまとめることです。

配布された和本は幅広い内容にわたり、絵と字が一体になって面白さがかもし出されているものが多く、絵師には葛飾北斎、渓齋英泉、歌川国貞などのビッグネームも含まれるなど、それ自体見ごたえのあるものでした。40分間という限られた時間ではありましたが、受講者は「くずし字一覧表」を手がかりに書籍の特徴の把握に努めました。

発表の時間では、それぞれの「本の紹介シート」が披露され、たとえば、女訓書「女蒙求艶詞」のキャッチフレーズは、「江戸の女子必見、たしなみを身につけるならこの一冊」などです。適宜、高野先生のコメントが加えられ、その後、それぞれの机の上に、それぞれの古書籍と「本の紹介シート」が並置され、全員で巡回しながらそれぞれの本を手に取るなどの交流の時間がもたれました。

最後に、現在「くずし字」をAIによって読解する研究が進められているという話題も提供され、その精度が高められた暁には、地域に埋もれている「江戸の本」を、文化的なリソースとして活用するという課題が浮上するのではないかとの予感を抱き、ワークショップを終了しました。