お知らせ

11月13日「コミュニケーションⅢ」を開催しました。

2017年11月16日

11月13日は表現活動家の岩橋由莉氏をお招きし、「問う力、つくる力を養う」と称したコミュニケーション系のワークショップを行いました。岩橋さんにはまだこのワークショップシリーズが始まったばかりの7月上旬に静岡にお出でいただき「関わる力、聴く力を見る」というワークショップをしていただきましたが、今回はその続編です。

テーマは「見立て」。人間は何かを何かに見立てることが出来る能力を持っていて、その発想と表現方法に面白さを見いだせることこそが、アートマネージャーとして身につけておくべき素養です。「見立て」の基準になるのは、その人のそれまでの人生において見聞したこと、経験したこと。その積み重ねの中から醸成された生活者としての鋭さや視点の興味深さにアート的なものが現れるということが、岩橋さんのお考えでした。

ワークは前回のおさらいの内容から始まり、次に「今の自分を表す3つのポーズを考える」というお題が与えられました。さらに3人組になって、一人がポーズをとり、残りの二人が鑑賞して感想をつたえ合いました。占いや人生相談、クイズのようになっているグループもありましたが、ポーズをとった人は、「今の自分の感じていること・思っていること」などを言い当てられても不思議とイヤな感じはしないようです。「お互いに共有できることが生まれた」「やればやるほどわけがわからなくなる」などの感想も述べられましたが、その自己の無意識と繋がった表現に美しさや逞しさが宿っていました。

その次に行われたのは5人組のワーク。まず西洋の「お城にあるもの」「王様のお仕事」として思いついたものを5人の身体で表現します。キャンドル、階段、シャンデリア、肖像画、ベッド、甲冑、謁見、執務、パレードなど瞬間的に思いつくままに、身体で表現していきました。

その流れで岩橋さんの朗読によるアンデルセンの童話『裸の王様』のお話を聞きます。途中、受講生は「バカには見えない不思議な布」について、仕立て屋への質問を考えます。様々な質問が飛び交い、「不思議な布」についての情報をや知識を得たところで、「仕立て屋の仕事を見に行った役人・大臣は王様に何と報告する?(天使と悪魔の囁き)」というお題で、続きのストーリーを各グループで考え、さらに王様・役人・大臣の役に別れて王様に衣装を着せ、パレードをしながら会場を練り歩くというワークをしました。また「王様は裸だ!」という子供の声を聞いた後のストーリー展開も、独自に考えて発表し合いました。見えないものをあるものとして判断し、そのルールに則って皆が想像を膨らませるワークとして『裸の王様』は最適であったようです。

このワークショップシリーズでは「仮の場」を据え置くことが、ダイナミックな学びの場を提供することにつながると謳っていますが、今回のワークは正にその真髄を体験できたのではないかと思います。「見立て」という言葉を辞書で引くと「あるものを別のものと仮にみなして表現すること、なぞらえること」と出てきますが、また一方で「善し悪しを決めること、判断すること」や「思いつき、考え、趣向」なども出てきます。「何かを何かになぞらえることを思いつき、さしあたりこれで良いと自分の感覚で判断すること」そしてそれを何度も行うことがアートマネージャーに必要な訓練であると、改めて思い至りました。