【美術Ⅳ】
アート系ワークショップ「美術Ⅳ~『アートブック』をつくる--」を開催しました。
ファシリテーターは、井上明彦先生(京都芸術大学美術学部教授)です。
画集などの「編集デザイン」ではなく、「本」というメディアや美術についての常識を問いなおし、それらの可能性を押し開く「アートブック」の制作を目指しました。
導入は「アートブック」とは何かについてスライドとプリント、さらに持参したご自身の作例を使っての説明です。そこでは、文字や画像が記される紙面が複数化され、編まれることから、「本」が他のメディアにはない独自性を発揮するということが伝えられました。
次いで、受講者によるアートブックの制作に移ります。印刷製本における通常の「ページ面付け」の説明の後、続いて本ワークショップで制作する「折り本」形式が説明され、材料としてA3上質紙が配布されました。それが、文庫本サイズ8ページもしくは16ページの本になります。
続いて「本」のコンテンツ、すなわち言語的な内容と画像を創り出す活動に移ります。言語的な活動は、ここでは「偶然歌集」を創るというテーマで、講師によって新聞の書評が複数用意され、そこから参加者は言葉をランダムに、あるいは直感的に抜き取り組み合わせることで、短歌もしくは俳句形式の詩を作ります。画像は、講師によって石や木の実や日用品などの画像が多数提示され、参加者は「偶然性」に導かれるように「歌」と画像を配置しました。
そして最後に、全員の「歌集」を、机の上にならべ、相互に手にとり感想を語り合う交流の時間が持たれ、井上先生による締めくくりの言葉をもってワークショップを終了しました。
ほぼ全ての受講者にとって「歌」を詠み、また画像と組み合わせて、オリジナルの「歌集」を作るということは初めての体験だったにもかかわらず、言語的なセンスとビジュアル的な感性が、互いに刺激しあいながら呼び覚まされる瑞々しい時間が流れました。