お知らせ

8月6日「食文化Ⅰ」2回目のワークショップを開催しました。

2018年8月10日

講師は前回に続き、料理家の按田優子さんです。

前回第1回目のワークショップで、自身が地域ときちっと向き合うことで課題を解決してくための宿題が出されました。内容は、以下A,B,Cから業態を選択し(複数可)、いくつかの設問に答えていくというものです。

・業態A「旅館で出てくる朝食」

・業態B「ビジネスホテルの朝食バイキングの数品」

・業態C「地元の素材を使った共同の加工所」

大事なことは、「(現在地域にあるものの中から)残したい・増やしたい資本」を決め、そこに「自分の持っている資本(技術、経験・体験、ネットワーク等)」を最大限に生かしつつ、「業態」を決めていくことです。言い換えるなら、「地域資源」と「私資本」の掛け算によって、いかにして地域の大切な食(材)を残し、増やしていくかを検討するものです。

 

受講者は、講師の按田さんによって、企画の性質や同一の価値観を持った4〜5人のグループ5班に分けられ、メンバー各人の考えた課題をメンバー間でプレゼンテーションしつつ、最終的にアイデアを一つに絞っていきました。

海のエリアと山のエリアの食材を物々交換によって成立させる暮らし。地酒と静岡特有の缶詰をリソースにした「角打ちバル」。静岡茶葉をがっつり使う料理の加工場の提案等々、アイデアを実現していく場を、静岡県の地図にマッピングしながら検討していきました。

 

2013年に和食がユネスコ世界無形文化財に指定され、同じ年、「静岡の茶草場農業」が、2018年には同じく、「静岡水わさび伝統栽培」が世界農業遺産として認定を受けました。静岡県を軸足に活動していくアートマネージャーにとって、もはや「食文化」を抜きにして、地域の課題は解決できないでしょう。

7月30日「映像Ⅲ」のワークショップを開催しました。

2018年8月10日

7月30日は映画監督で、京都造形芸術大学の山本起也先生をお招きし、「企画の切り口を考える」という内容の映像を使ったワークショップを開催しました。

最初に「企画の切り口を考える」とは、伝えたいものの「コンセプトを捕らえることだ」と教えていただきました。山本先生が実際に作成に関わった商品に関する映像を事例として見た上で、受講者自身もグループワークを通じてアイデアを出し合います。最初の課題は<介護ロボット>。「1分程度で伝わる映像」「日本語がわからない人が見ても分かるもの」「どのような魅力を介在させれば伝わるか?」この3点について20分程度で話し合い、各グループでアイデアを提案しました。

介護をする人、される人、どちらに訴求するのかによって方法が違うことを指摘した上で、受講者たちのアイデアは、その点について先回りして考えられているとコメントを頂きました。

前半二つ目のワークは人手不足が課題の中小企業のプロモーション映像について考えるワークでした。人がそこで働きたくなるよう映像の切り口について考えます。会社の説明だけでなく、その組織が持っているリソース、特にそこで実際に働いている社員にクローズアップした内容についてのアイデアが出てきましたが、それ以外にお若手のホープの幅、豊かさを紹介するような内容や施設、設備のアピールが今の社会では求められていると教えて頂きました。

後半のワークでは実際に携帯の動画撮影機能を使って映像を撮影しました。ある飲料メーカーの商品を対象に、映像を使用して消費者を巻き込む仕組みを考えるのが課題でした。各グループで短い映像を撮影し、最後に全員で鑑賞しました。「これからは顧客にCMを作ってもらう時代」という山本先生のコメント通り、受講者たちは短い時間で、商品のイメージを顧客に訴求する楽しい映像を撮影できたと思います。

 

7月23日「美術Ⅹ」を開催しました。

2018年7月29日

井上明彦ワークショップ「水から/水へ」

 

7月23日(月)に、美術家であり京都市立芸術大学教授の井上明彦さんを講師に迎え、美術分野のワークショップ「水から/水へ」を開催しました。内容は、前半は講義、後半はワークショップです。

講義では、レオナルド・ダ・ヴィンチが晩年に描いた「洪水」のドローイングと幻に終わった「水の書」を導入とし、先の西日本豪雨による大水害にも絡めて、「水」が人間の生存にとって根源的なものであることに注意が促されました。また「水」の科学的な物性や身体と水の関係について説明がありました。

次いで、井上さん発案の京都芸大「@KCUAプロジェクト」を例に、「水」が大学の理念をシンボリックに示し、さらにそれが地域社会との関係と結びついていることが紹介されました。続いて、「水」がご自身のアートプロジェクトにおいて重要なテーマの1つであること、またそれが都市や集落の歴史/記憶/生活と深く結びつく形で展開されていることがスライドを使って紹介されました。

アートと他の領域を「地続きに考える」こと、また西アフリカではアーティストのことを「忘れない人」と呼ぶという発言が印象に残りました。

後半取り組んだ最初のワークショップは「水になる」です。『原初生命体としての人間―野口体操の理論』で知られる元東京芸大教授、野口三千三の言葉を糸口に、受講者が、水入りゴムチューブを体にまとうことで体の中の水を感じるワークをおこないました。グループワークでは、そのチューブの不思議な弾力や水の性質にあちらこちらで歓声があがりました。

次いで、1960年代以降のアートシーンで特筆されるフルクサスの運動に参加したアーティスト、現在は京都芸大の特別招聘研究員でもある塩見允枝子さんのスコア/パフォーマンスの紹介がありました。塩見さんの作品は、言葉がスコア(楽譜/インストラクション)でその解釈は他者に委ねられるとのこと。その中から、「1.水にかたちを与える 2.水にかたちを失わせる」というスコアの紹介があり、井上さんはそれに、「コップ一杯の水から」という条件を加えて、受講者に投げかけました。受講者は、それぞれのやり方で、事務局と講師が用意した準備物や水から持参した物品を使い、「演奏?」を試みました。

スコア/インストラクションを示されてから「演奏?」まで30分余りの時間しかありませんでしたが、受講者は柔軟な思考と感性を発揮して様々な「解釈」を展開しました。

「自分と違う発想に触れることが大事」ということで、全受講者はそれぞれの演奏/パフォーマンスを紹介し活動を終えました。

7月23日 コミュニケーションⅤ「旅する図書館」を開催しました

2018年7月29日

7月23日 「コミュニケーションⅤ」のワークショップを開催しました。

講師は、「旅する図書館」の岡島梓さんと井東順一さんのユニット。

「旅する図書館」は、カフェやゲストハウスなどを旅するように巡って開かれるブックサロン。参加者は、その日のテーマにあわせた本を持ち寄り、その本と自分との関係、あるいは内容を紹介しあうというもの。

今回のテーマは、「きっかけの本」。仕事を変えるきっかけになった本、大切な人のために料理をつくるきっかけになった本、尊敬する先生に将来を後押しされるきっけになった本などが受講者によって持ち寄られ、各々がそのときの情景を想い浮かべながら紹介しあいました。

講師の岡島さんは言います。

「会話と本を通し、訪れた人の明日が楽しく変わるきっかけの場所。ゆるいつながりから、何かが生まれてくる場所。その場に集った人がつくる、二度とない時間が流れる場所。

地域の人、場所の提供者、来訪者、野次馬、企画者、全ての人の明日が楽しくなること。明日からの歩みのきっかけが生まれること。よく循環し、誰にも疎外感を覚えさせないこと。」

本というフィルターを通すことで、社会的な肩書きが一旦はずれ、みんな平等になれるのが、旅する図書館の良いところです。

また時代は、安心社会から信頼社会へと流れが進んでおり、そこでは、「わかりやすさ」「わからなさい」「余白の保証」の三位一体が駆動力になっており、その信頼社会を生きる上で大事なことが旅する図書館の肝にもなっているのです。それは互いが持ち寄った本やその本を通して語る相手の「わからなさ」を否定しないで、一旦受け止めるという態度です。そこにこそこれまでの自分の中にはなかった言葉や事柄、考え方という多様な気づきがあるのです。つまり人間としての成長があるのです。この気づきこそ、信頼社会の屋台骨であり、旅する図書館が大切にしていることなのではないでしょうか。

本の紹介が終わると、二つに別れたグループが、それぞれに持ち寄った本を机の上に並べて置き、メンバーのオーダーによって次々とダイナミックに並び変わっていく醍醐味にトライしました。

最後は、互いのグループの本の配下配列をプレゼンテーションしあって、きょうの旅する図書館@静岡大学を楽しみました。

 

7/17 基礎講義3「地域リソースの発掘・連環・創造に向けたワークショップをめぐって」

2018年7月22日

7月17日(火)に、美術家であり著作『美術、市場、地域通貨をめぐって』『美術館・動物園・精神科施設』『贈与としての美術』などを通じて美術をめぐる先鋭な問題を提起し続ける白川昌生さんと、白川さんとともに「場所・群馬」など地域を拠点に活動を展開する美術家の木暮伸也さんを講師に迎え、基礎講座として「地域リソースの発掘・連環・創造」を実施しました。

 

内容は、大きく3部構成で、前半は白川さんによる講義、後半は木暮さんによる活動のプレゼンテーションと静岡大学の白井を交えた鼎談を行いました。

白川さんの講義は、「アート」の起源についての概説の後、スライドや動画を用いて「場所・群馬」など地域を拠点とした様々な活動についての紹介がありました。

そこでの活動の拠点は、地域の歴史的な建物また商店街の空きスペースや無人駅などです。また、地域の記憶、産業、人々の営みや出来事をめぐって繰り広げられた、従来のアートの概念を超えた多様な実践は受講者に大きな刺激を与えたのではないでしょうか。

後半の木暮さんによるプレゼンでは、作品と場所との関係、作品の変遷、また白川さんと自身が関わる地域アートスポットについて紹介がありました。

その後、白井を交えての鼎談では、地域拠点の具体的な運営のあり方について、また地域のクリエーターの交流拠点としての活動と、より幅広い住民、商店街や多様な地域住民に向けたアートプロジェクトや「祭り」とが並行するように展開されていることが話題となりました。

受講者との質疑応答の時間では、2017年に群馬県立美術館で開催された「群馬の美術2017」における白川さんの作品《群馬県朝鮮人強制連行追悼碑》が展覧会直前に展示取り消しになった問題について質問があり、白川さんからはモニュメントが政治との危ういバランスの上に成立していること、また作品の展示取りやめについては美術館の構造的な問題が背景にあるとの返答がありました。

 

白川さんはその著書『贈与としての美術』のなかで、芸術について「共感、感性、身体感覚という共通性をもちつつ、他者、社会、自然に関係していきながら、関係を再構築していく活動」としていますが、木暮さんの活動も合わせ、その豊かな実践を例示いただくことができたように思います。

  

7/9 基礎講義4「ユニークベニューの開発と実践」を実施しました。

2018年7月21日

7月9日(月)に静岡市駿府城公園にある紅葉山庭園茶室にて、3回目の基礎講座として「ユニークベニューの開発と実践」を行いました。今年度は、平成28年度、29年度受講者の柳本良男さんによる「受講者企画」という位置づけです。内容は、柳本さん自らユニークベニューの試みとして、昨年11月に静岡市清水船越堤庭園茶室で実施したパーカッションと朗読によるコラボレーション「お茶室ライブ」をベースとし、静岡大学の白井、平野、井原と協働し発展させたものです。
パーカッショニストは静岡県出身、国内外で精力的に演奏活動を展開している永井朋生さん。朗読は静岡県舞台芸術センター俳優の片岡佐知子さん。朗読のテキストは、志村ふくみ著「語りかける花」から2編の随筆がとられました。

床の間のしつらえは白井が担当しました。掛け軸に見立てたのは、静岡市在住で近年再評価が著しい「幻触」の中心メンバー飯田昭二さんの「地表図」(2004年)です。花は朗読のテキストから蓮としました。花入れは静岡市清水区在住のデザイナー・アーティストの大滝正明さん作「漆古竹花入」、またそれを藤枝市在住の彫刻家、杉村孝さんが見出した自然石「たまいし」と重ね合わせるように用いました。

会場は、静岡市が設置し静岡ビル保全株式会社が指定管理となって運営している、数寄屋造りの茶室「雲海」です。水屋側を除くすべての襖を外し、寄付・次の間・広間と入側・広縁を合わせ28畳余、また芝と苔の緑豊かな広間庭に面した開放的な和の空間。真ん中の次の間には一辺2mのパイプで組み立てられた立方体の中に、永井さんの楽器群が設置してあります。自然石、木、竹、貝殻、金属板、またガスボンベを加工して作った手作りの楽器や仏具のおりんなど、、、。茶室に入場した受講者は、楽器群も含むそのしつらえを楽しみ開演を待ちました。

開演の合図は、遠くから聞こえる篠笛の音。それがだんだん近づき、広間庭に面して上手から着物姿の片岡さんが笛を奏でながら広庭に現れます。下手からは丸い金属の楽器を演奏しながら永井さんが現れ、二人が出会い、縁側から茶室に入室。笛の音と澄んだ打楽器の音が室内に満ちてきます。
片岡さんは笛を収め志村ふくみ著「語りかける花」の演ずるような朗読になめらかに移行。永井さんのパーカッションは、あるいは言葉と重なりあるいはソロのインプロビゼーションとなり豊かな音色で空間を満たしてゆき、およそ1時間、妙なる音色と朗読のコラボレーションが繰り広げられました。

休憩を挟み、永井さん、片岡さん、柳本さん、白井によるパネルディスカッションが行われました。
柳本さんによる趣旨説明、永井さんとの関わり、また朗読テキストの選定にあたり片岡さんと偶発的に思いが一致したことについて紹介がありました。次いで、茶室を生かすためのそれぞれの工夫、開演前の庭園での演奏と茶室における本番との最適な関係の模索、また今回は音響にも力を入れ2年前の本事業で「音響」の講師を務めていただいた堀池龍二さんに担当いただいたことなどに話題が展開。また、静岡大学の白井からは床の間のしつらえについての解説があり、最後は、妙なる音色を表す言葉、岡倉天心の『茶の本』に関連してとられた「高山流水」をめぐる話題となりました。

「ユニークベニューの開発」という視点では、駿府城公園紅葉山庭園茶室はすでに音楽のコンサートなども開催できる場所なので、踏み込み不足という意見も寄せられました。ただここでは、「地域リソースの発掘・連関・創造」という意味で、床の間のしつらえと出演者の関係、また茶室の空間との間の最適な関係性を求めたこと、またなによりも受講者の方々に、それぞれの地域の「ユニークベニュー」の開発に向けて一つの具体例を提示できたのではないかと思っています。(写真撮影:石川綾子)

7/5 ワークショップ「コンサートマネジメント1回目」を開催しました。

2018年7月18日

7月5日は音響エンジニアの木村哲氏をお招きして「コンサートマネジメント」のワークショップを行いました。木村さんは去年の音響のワークショップでもご指導くださった方ですが、今回はコンサートスタッフとして働くにあたり、どのような点に留意すべきかなど、その心構えを教えていただきました。

前半1時間半は講義、後半1時間半は駅前のサールナートホールで見学を含めた講義を行いました。受講者は10月17日に静岡市内で行われるコンサートに実際にスタッフとして参加します。お客様と接する「表方」と、アーティストと接する「裏方」に分かれて、実際に図を書いたり、現場に机や椅子を配置して見たりしながら、タイムスケジュール通りに動きのリハーサルを行いました。

事前に想定できることはできる限り全て想定し、当日に何か思いがけないことがあっても余裕を持って対応できるように備えることの大切さを学んだ3時間でした。

7/2 ワークショップ:コミュニケーションⅣを開催しました

2018年7月18日

7月2日は岩橋由莉氏、羽地朝和氏のお二人をお迎えしてコミュニケーションのワークショップを行いました。「物語を使った二つのワークショップ」と題したアプライドドラマとプレイバックシアターという二つの演劇の手法を使ったワークショップでした。

最初は岩橋さんのファシリテーションで自己紹介を交えたワークを行い、その後『きつね』というタイトルの絵本を使ったワークを行いました。登場する「犬」「カササギ」「きつね」の3者に対して、誰にどのように共感するか、グループに分かれて語り合ったり、1シーンを実際に演じてみたりしました。解釈の幅のある題材でもあったため、様々に議論が展開し、相手がどのような意見や考え方を持っているのかを知ることのできるワークであったと思います。

後半は羽地さんのファシリテーションでプレイバックシアターを行いました。まず演者を4人、音響担当者1人、そして語り手を1人決めて、講師が語り手から過去のエピソードを聴き出します。2人の受講者が自分の過去のエピソードを語り、それを即興で他の受講者が演じ、それを客観的に見てどう感じたかを語り手が振り返りました。今回は「ターニングポイントになった出来事」でしたが、企業の研修などでは他の題材を使用することもあるそうです。

これらのワークを通じて、ワークショップの手法を学ぶことができたと同時に、受講者同士の親睦を図ることができたように感じます。

 

7/2 基礎講義1「アートマネジメントの課題をめぐって」を開催しました。

2018年7月10日

7月2日(月)静岡市葵生涯学習センター アイセル21で基礎講座を開催しました。

 

テーマは、「アートマネジメントの課題をめぐって」。講師は「渚と/nagisato」を主宰されている森隆一郎さんです。

森さんは、「渚と」のミッションを次にように説明されます。

「アートやカルチャーで社会の境界をなだらかに(渚化)していく(今のところ)個人ユニット」である、と。

 

1990年 江東区文化センターから始まり、ティアラこうとう、アサヒ・アート・フェスティバル、いわき芸術文化交流館アリオス、東京文化発信プロジェクト(後、アーツカウンシル東京の名称変更)などに関わり、現在では主に、渚と/nagisato、トーキョウアーツのれん会、及びティバレエ団/全銀座会などを活動の舞台とされるなど、日本の文化芸術の現場を牽引されてきた方です。

 

森さんは、一方通行の講義形式は取らず、つねに受講者に語りかけ続けます。

マネジメントとはなにか。何のためにアートマネジメントか。アートマネジメントは、アートをマネジメントすることなのか。アートマネジメントとは、社会の様々な関係を、アートを通じてマネジメントすることではないか。大切なのは、ミッション(現在の世界で何をするか)とビジョン(どんな未来をつくるのか)を明確にすることではないか。地域特性、社会の状況、時代性を鑑みて、社会に対してアートを通じて貢献できることはなにか? そうして、これら課題に対して受講者といっしょに考え続けます。

 

また、文化芸術活動における「儲ける」ことについて次のように教えます。

「経済資本(金銭的価値)、文化資本(知識・教養・技術など)、社会関係資本(コミュニティ・信用など)の3つを循環させ、人を幸せにすることである」と。とかく、「儲ける」話になると、経済資本にのみ話が行きがちですが、森さんの指摘で目から鱗が落ちました。このことをどのように「評価」と結びつけていくのかがわれわれの大きな課題になりそうです。

 

この他にも、2020年 東京オリンピック・パラリンピック競技大会について文化プログラムにも言及されました。

 

そうして、この日のまとめを以下のようにされました。

「マネジメントもやり過ぎは禁物」であると。そうして、「アートや人、街の関係性は、言葉で説明できるほど単純ではない。つまり、全てはマネジメントできない。アートについてマネジメントできることは、通奏低音を奏で、転調が必要なら、タイミングを誤らず勇気を持って転調できるようにしておくこと。そのために、常に観察を続けること、そして、経験を積むこと」。

 

森さんの問いかけへの誠実な回答とは、各々が現場で発生する課題と丁寧に向き合っていく態度そのものではないでしょうか。

6/25(月) 「曲目解説」が開催されました

2018年7月1日

講師は静岡大学地域創造学環アート&マネジメントコースの井原麗奈がつとめました。

コンサートに行くと配布されるプログラムに掲載されている「曲目解説」。開演前にしっかり読む人もいれば、上演中になんとなく流し読みする人、帰ってからじっくり読む人、全く読まない人、様々だと思います。

この解説、プロの有料公演では一般的には音楽評論家や出演者が書くことが多いですが、基本的には誰が書いても良いものです。それを普段クラシックにあまり馴染みのない人が書いたらどうなるでしょうか?私個人の興味もあり、「楽曲の魅力を言葉で伝える」という点にクローズアップしてワークショップ化してみました。

最初に2つの宿題を提示しました。①シューマンのピアノ四重奏曲を指定した録音で最低3回聴いて、好きな楽章を決め、そこから想起される印象をキーワードにして持ってくる(色、季節、天候、物事などに例えてみる)。②巷で配布されている曲目解説(16本)を読んで、作曲家、作曲背景、テンポ、曲の構成など書かれている内容によってペンで色分けしてくる。

いずれも負荷の多い宿題でしたが、皆さんしっかりと準備してワークショップに臨んでくれました。

まず②の宿題で読んだ曲目解説の感想をグループで議論しあい、最低限提示した方が良い情報はあるものの、基本的には自由であることを共有します。またこちらからは、一部に独自の解釈を盛り込んでも構わないけれど、押し付けがましくなく「それも一理あるな」程度の表現に留めることがコツだということも言添えました。

また岡田暁生先生の『音楽の聴き方』(中央公論新社、2009年)、「第二章 音楽を語る言葉を探す」の中から、音楽文化は語ることによってより深まることを紹介した上で、実際に解説を文章化するための準備をグループで行いました。好きな楽章ごとに集まり、受講者同士でキーワードを出し合います。それをグルーピングしながら、曲のイメージについて語り合ってもらいました。最後に文章化することは各自の持ち帰り課題としました。次週までにどのような解説文が仕上がってくるのか、楽しみです。