11月19日「広告×ジェンダー」のワークショップを開催しました

11月19日、「あざれあ(静岡県男女共同参画センター、指定管理者:あざれあ交流会議)」を会場に、「広告×ジェンダー」のワークショップを行いました。今回は、あざれあとの共同企画という位置づけでの実施です。

講師は、株式会社ポーラの宣伝部長 渡邉和子さん、「POLAリクルートフォーラム」のキャンペーンを担当されているクリエイティブディレクターの原野守弘さん(株式会社もり)、コピーライターの山根哲也さん(株式会社ライトパブリック)、加えてこの映像を取り上げて議論の場をつくりたいと提案してくださった、あざれあ交流会議理事の滝和子さんの4名です。
前半は、4名の講師陣によるパネルディスカッション、後半はそれを受けてのワークショップの2部構成です。

パネルディスカッションは、ポーラが制作したリクルートフォーラム用の映像を、その企画意図、反響、社会と社内の変化、ジェンダーの世界的な歴史・動き等を重ねながら意見交換をしました。(以下、3本が課題になったポーラの映像)

後半のワークショップでは、主にアートマネジメントの現場に潜んでいるジェンダー問題を注意深く振りかえるという課題に取り組みました。
そもそも才能や実力が重視されるアートの現場では、女性も男性も分け隔てない、という傾向が他の現場よりも強いかもしれません。一方で、だからこそ逆に一般を対象におこなうワークショップや催事などでは、その視点が忘れられがちになります。

今回は、いつものワークショップよりも受講者が相当混乱したようにも見受けられます(受講者がSNSで対話するシーンが散見されました)。何よりもこのワークショップ全体が目指す、答えがひとつに決まっていない課題に向き合うことで、「カンバセーション(会話)」ではなく「ダイアローグ(対話、議論)」が生まれる、そんな機会となったことは大きな成果だったとおもいます。

11月5日「美術ⅩⅢ」のワークショップを開催しました

 11月5日(月)に、美術分野のワークショップ「Wondering: Childhood Memoir」を開催しました。ファシリテーターは、フィリピンのアーティストで大学教員のノエル・エル・ファロルさんです。ファロルさんは、美術展「めぐるりアート静岡2018」の招待作家として、市内の中勘助文学記念館で作品を展示しています。作品は中勘助の代表作『銀の匙』を踏まえ、人々にとっての記憶・時間・記録をテーマにしています。
 ワークショップは主に英語で行われました。
 内容は『銀の匙』のように、受講者が自らの幼年期を回想し、日々の暮らしのなかで経験した、心に残る出来事を絵に表し、言葉に記すというものです。

 導入として、静岡大学の白井さんによる講師紹介があり、そこではファロルさんの美術家としての幅広い活動が紹介されました。続いて、ファロルさんがワークショップの内容を紹介し、白井さんから内容を記した日本語のプリントが配布されました。
 活動1(絵を描く)
 まず受講者は目を閉じて、幼年期を回想するところからスタート。
 そして下描き用のA4コピー用紙が配布されました。すぐに描き始める人、なかなか始めない人など、動き出しは人によって様々。次いで、本番用としてA3のやや厚めの紙が配布されました。二つに折って、見開きの左側が絵、右側が言葉のページ。まずは思い浮かんだ、幼年期の出来事を絵で表します。
 活動2(物語を記す)
 次いで、右側のページに、その場面について言葉を添えていきました。活動1と活動2は連動しているので、ほぼ同時に行うケースが多かったように思います。
 絵を描き文章を書き終えた人から、題名をつけて作品を提出。事務局では、スキャナーを使って画像としてPCに取り込み、またグループごと人数分だけカラーコピーをとっていきました。

 昼食を挟んで、午後はそれぞれの「回想」が発表されました。時間の関係で、グループごと各1名、全部で5名のプレゼンが行われました。通訳は主に白井さんが務めました。
 仕上げは、製本の時間。グループごとに、カラーコピーをクリップで綴じて冊子にまとめ、その後、他グループの冊子を見て回るなどの交流をし、和やかな時間が流れました。受講者のオリジナルの作品は、ファロルさんに提供され、それは現在開催中の中勘助文学記念館にて展示されることになります。展覧会終了後はフィリピンに持ち帰られ、しっかりと製本され、受講者の書いた文章がファロルさんが勤務する大学の日本語コースの学生によって英語に翻訳される予定です。
 本ワークショップによって、参加者は自分自身の『銀の匙』に気づくとともに、それを形にし、広く他者と分かち合うことができるという気づきを得ることができたように思います。



11月1日「福祉系・表現Ⅲ」のワークショップを開催しました

11月1日「福祉系・表現Ⅲ」のワークショップを開催しました。

ファシリテーターは、子どもワークショップで豊富な経験をお持ちの京都造形芸術大学名誉教授、水野哲雄氏さん。
実施にあたっては、静岡大学教育学部附属特別支援学校と連携し、同校の校外活動の一環として位置づけました。会場は教育学部の絵画大アトリエ。ワークショップで使う、段ボールなどの材料は、水野さんと事務局が前日のうちに準備しておきました。
9時30分に受講者(9名)集合。水野さんより全体の流れについての説明がありました。特別支援学校の生徒(16名)・先生(8名)・保護者(9名)は、10:00に大学に到着。10:30からワークショップ「紙とあそぼう」が始まりました。

導入は、新聞紙を使っての遊びです。
「新聞紙は楽器だよ」ということで、新聞紙1枚を手に取って、いろいろ働きかけることでどんな音が出てくるか試します。新聞紙が発する柔らかな騒音?によって一気に緊張がほぐれ、場が活気づきました。次に、その新聞紙をくしゃくしゃに丸め、また伸ばします。そしてもう一枚の新聞紙を細かく裂いたりちぎったりしたものを、先に丸めた新聞紙で包んで、ふっくらした立体にしてアトリエのどこか好きなところに置きました。そんなことで、子どもたちは、大学の教室という新しい環境になじんでいくことができました。
次に、前半のワークショップが始まりました。
1人1枚、A3の白い紙(コピー用紙)が配られます。水野さんは「色を付けてみようか」と投げかけましたが、参加者の多くは、会場にあるクレヨン(軸に巻いてある紙を剥がしてある)やマーカーなど素敵な画材を見つけ、手に取ると夢中で絵を描き始めました。15分ほどたって、水野さんが「自分の紙を破って、みんなの紙と混ぜ混ぜにしてみよう」のワークへ移ります。「いやだー!」という子もいて、それはそれでOK。破った紙を、別に用意したA3の紙に貼り合わせて、学年(グループ)ごとの合作ができました。そしてそれを、アトリエの壁に掲示。室内空間が子どもたちの色に染まり始めたところで前半が終了。
10分間の休憩の後、後半のワーク開始。
予め用意した、様々な形をした段ボールの断片を、参加者1人あたり8枚配布。
水野さんは、断片が「何に見えるかな。目・口・鼻・ネックレス・・・」と投げかけました。「段ボールを使って顔に見えるようにして下さい。合作の作品もあるね」ということで、子どもたちはイメージを膨らませてゆきました。そして「動物を作ってみよう」に移り、別の角度からイメージが刺激されます。
それらを踏まえ、「立体にして組み立ててみよう」というワークが始まりました。まずは接着剤を使わず、破片を互いに支え合うようにするなど工夫して、立たせようとします。子どもたちは、いろいろ試みますが、なかなかうまくいきません。そこで、水野さんは「裏技があります。ここに両面テープがあります。これを使ってやってみてください」と声かけしました。そして、「できるだけ高いものを作ってください。みんなで作ってもよいですよ」ということで、それぞれ思い思いに取り組みました、
90分の時間も瞬く間に過ぎて、最後に、互いの作品を鑑賞し、「重力に逆らって、立ち上がることは、それだけでも素晴らしいことです。実に、美しい」という水野さんの言葉で、特別支援学校小学部の生徒との交流するワークショップを終了しました。

午後は会場を教室に移して、受講者による「振り返り」の時間です。
まず、今日の流れが事前に用意した進行表から離れ、臨機応変の対応をした理由について説明があり、また水野さんが別の場所で行った同種のワークショップについて動画による紹介がありました。
受講者との質疑応答の時間も十分にとって、実際にワークショップに参加しての感想や気づきなどについて丁寧に話し合うことができました。水野さんからは、「活動のさなかに予定外のものが生じた場合は、そのことを大切にする」、造形ワークショップは「遊びであってほしい。子どもたちが自ら気づいて、遊びを見つけて行動する」「リラックスして自分を出していいという身持ちにさせる」「造形活動をしていなくても、皆と一緒にいることで、その子なりに感じている」など、多くの示唆に富む言葉が発せられました。本ワークショップは小学部の学年ごとに担任の先生と保護者がつく中で、受講者は自らのスタンスに戸惑いつつも、子どもたちの動きをよく観察し、また水野さんの豊かな経験に裏打ちされた事前準備や、包容力のある的確な判断によく注意を払っていたことが分かる振り返りの時間でした。