8月20日「著作権」のワークショップを開催しました

8月20日、実務系のワークショップ、「著作権」を実施しました。講師は、骨董通り法律事務所代表パートナー 弁護士、ニューヨーク州弁護士の福井健策さんです。タイトルは、「マスターする著作権とライツ」です。

福井さんは、ワークショップの冒頭、受講者に向かってこう教えました。
「きょうこれだけは覚えて帰ってください。それは、『著作物とは、思想・感情を〈創造的〉に〈表現〉したもの・・・』(※プリント上では穴埋め形式になっていた)。加えて、著作物の例として、①小説・脚本・講演など ②音楽 ③舞踊。無言劇 ④美術 ⑤建築 ⑥図形 ⑦映画・ ⑧写真 ⑨プログラムがあります。ここまで覚えてもらえれば、日常生活に係わる著作物の99%はカバーできます。」

例えば、③の、ある演出家の振り付けですが、これは著作物です。勝手に踊ってそれをネットにアップしたり、舞台で使うと問題になることがあります。また、⑤の有名建築家が設計した建築物は著作物ですから注意が必要です。ただし、建て売り住宅は、著作物とは言えません。ちょっとここでは乱暴に記しますが(福井先生はきっちと説明してくださいましたが)、ありふれた表現、定石的な表現、事実、データなどは著作権に抵触しません。題名とか名称も同様です。ですから、私たちがたとえば小説などを書く場合、その中に鉄腕アトムやミッキーマウスという言葉を使うのは問題ありません。もちろん画像は勝手に使えません。
このように受講者は、具体的な事例を参考に著作物、著作権の基礎の基礎を頭に入れていきます。繰り返しますが、ここで大事なのは、「創作的な表現」ということです。

今回の進行は、講義の合間合間にそれに関連したワークショップ(グループワーク)が挿入されていくという形式が取られました。
受講者らが自らの導き出した意見を言う度に福井先生の「なるほど」「そう判断した根拠は何ですか」という鋭い突っ込みが入ります。全員が発表し終わると、福井先生から、これまでの判例や法に遵守したアドバスが入りました。とにかく実例をワークショップ形式で議論していくので、たんに知識を押しつけられたのと違って、記憶が濃く刻まれていきます。

その他、ナショナルアーカイブ構想、作品デジタル公開と権利の現状と課題、世界が直面するオーファン問題、図書館著作権規定の到達点、他にも肖像権の問題などに触れて頂きました。

日々、SNS等で情報を取り、アップする私たち。知らない、ではすまされないアートマネージャーの知識の習得という課題が目の前にあることを改めて突きつけられたワークショップでした。

福井先生は、最後の最後に、こう釘を刺されました。
「一週間経ったら、わたしがきょう配布したレジュメを必ず見直してください」。
大丈夫でしょうか、受講者のみなさん。

8月6日「文学Ⅵ」のワークショップを開催しました

小二田誠二ワークショップ「浮世絵を読んでみる」

 

8月6日(月)に、静岡大学人文社会科学部の小二田誠二先生を講師に迎え、文学分野のワークショップ「浮世絵を読んでみる」を開催しました。

江戸時代の木版画、浮世絵は、印象派の誕生に大きな影響を与えたこともあり、美術の文脈で紹介されることが多いのですが、江戸文化を映し出す鏡でもあります。

ワークショップの会場には、先生が所蔵する幕末から明治にかけての浮世絵コレクション数百点が持ち込まれ、またそれを読み解くために様々な入門書・専門書が持ち込まれていました。

最初は自己紹介。専門は美術史ではなく、江戸から明治にかけてのメディアと表現であるとのこと。また絵画については、そこに込められた「メッセージやストーリーを積極的に読み解いてゆく」姿勢で接していることが語られました。その意味では、浮世絵展の多くは解説が少ないとの疑問を提示。本ワークショップでは、浮世絵の面白さを分かりやすく伝えるキャプションを作りましょうと投げかけられました。

続いて、小手調べ。「國貞改 二代豊國画」と記された、『百人一首繪抄』という作品のカラーコピーが配布され、その絵からどのような内容を読み取ることができるかというワーク。受講者は画中の「美人」の仕草と、文字情報の読み取れる箇所をつなぎ合わせ、絵の内容を推察し発表しました。それを受け、小二田先生からは、浮世絵を読み解くためのポイントである、文字(くずし字)情報と版元印や検閲印などの記号情報についての解説、さらに「見立て」や文様についても重要との指摘がありました。

前半の最後はグループに分かれ、キャプション作りに向けて、数多の浮世絵から1点(1組)の作品の選び出しました。結果、芝居絵を選んだのが5グループ、物語絵が1グループでした。そして、制作年を推定するための専門書、石井研堂の本や『歌舞伎年表』などの文献を参照する方法について説明がありました。

昼休みを挟み、後半は、グループごとに専門書にあたって、制作年代等の基本情報を探りました。小二田先生は、机の間を巡回しながら、それぞれの浮世絵の読み方についてポイントを指摘してくださいました。約1時間のワークで、絵師、出版年月、落款、改印、彫摺師、版元、作品名、画題等々の基本情報、また芝居絵であれば、上演月日や演目や配役などの上演情報などを集中して調べました。調べても分からないことについては、時間的な制約もあるので、今回は「不明」「不詳」「……か」で対処するとのこと。それら基本情報を確定することは、目標である「絵画に秘められたストーリー」を読み解き、分かりやすい解説を書くための必須の条件です。

最後の15分間を使って、グループごとに制作中のキャプションの発表をしました。

最後に小二田先生から、キャプションの精度をより高めるためには、時間外にネットや文献を参照し、磨きをかけていただきたいとのコメントがありワークショップを終了しました。

8月6日「食文化Ⅰ」2回目のワークショップを開催しました。

講師は前回に続き、料理家の按田優子さんです。

前回第1回目のワークショップで、自身が地域ときちっと向き合うことで課題を解決してくための宿題が出されました。内容は、以下A,B,Cから業態を選択し(複数可)、いくつかの設問に答えていくというものです。

・業態A「旅館で出てくる朝食」

・業態B「ビジネスホテルの朝食バイキングの数品」

・業態C「地元の素材を使った共同の加工所」

大事なことは、「(現在地域にあるものの中から)残したい・増やしたい資本」を決め、そこに「自分の持っている資本(技術、経験・体験、ネットワーク等)」を最大限に生かしつつ、「業態」を決めていくことです。言い換えるなら、「地域資源」と「私資本」の掛け算によって、いかにして地域の大切な食(材)を残し、増やしていくかを検討するものです。

 

受講者は、講師の按田さんによって、企画の性質や同一の価値観を持った4〜5人のグループ5班に分けられ、メンバー各人の考えた課題をメンバー間でプレゼンテーションしつつ、最終的にアイデアを一つに絞っていきました。

海のエリアと山のエリアの食材を物々交換によって成立させる暮らし。地酒と静岡特有の缶詰をリソースにした「角打ちバル」。静岡茶葉をがっつり使う料理の加工場の提案等々、アイデアを実現していく場を、静岡県の地図にマッピングしながら検討していきました。

 

2013年に和食がユネスコ世界無形文化財に指定され、同じ年、「静岡の茶草場農業」が、2018年には同じく、「静岡水わさび伝統栽培」が世界農業遺産として認定を受けました。静岡県を軸足に活動していくアートマネージャーにとって、もはや「食文化」を抜きにして、地域の課題は解決できないでしょう。

7月30日「映像Ⅲ」のワークショップを開催しました。

7月30日は映画監督で、京都造形芸術大学の山本起也先生をお招きし、「企画の切り口を考える」という内容の映像を使ったワークショップを開催しました。

最初に「企画の切り口を考える」とは、伝えたいものの「コンセプトを捕らえることだ」と教えていただきました。山本先生が実際に作成に関わった商品に関する映像を事例として見た上で、受講者自身もグループワークを通じてアイデアを出し合います。最初の課題は<介護ロボット>。「1分程度で伝わる映像」「日本語がわからない人が見ても分かるもの」「どのような魅力を介在させれば伝わるか?」この3点について20分程度で話し合い、各グループでアイデアを提案しました。

介護をする人、される人、どちらに訴求するのかによって方法が違うことを指摘した上で、受講者たちのアイデアは、その点について先回りして考えられているとコメントを頂きました。

前半二つ目のワークは人手不足が課題の中小企業のプロモーション映像について考えるワークでした。人がそこで働きたくなるよう映像の切り口について考えます。会社の説明だけでなく、その組織が持っているリソース、特にそこで実際に働いている社員にクローズアップした内容についてのアイデアが出てきましたが、それ以外にお若手のホープの幅、豊かさを紹介するような内容や施設、設備のアピールが今の社会では求められていると教えて頂きました。

後半のワークでは実際に携帯の動画撮影機能を使って映像を撮影しました。ある飲料メーカーの商品を対象に、映像を使用して消費者を巻き込む仕組みを考えるのが課題でした。各グループで短い映像を撮影し、最後に全員で鑑賞しました。「これからは顧客にCMを作ってもらう時代」という山本先生のコメント通り、受講者たちは短い時間で、商品のイメージを顧客に訴求する楽しい映像を撮影できたと思います。