10月16日「まちづくりⅢ」のワークショップを開催しました

10月16日「まちづくりⅢ」のワークショップを開催しました。

講師に一般社団法人SACLABO代表渡村マイさんをお招きしました。

渡村さんは体験の重要さを繰り返し説きます。現代は体験が不足している時代であるとも分析されています。渡村さんの言う体験とは、あることを身体と精神に通過させ、その前後で自分の中の価値が変わっていくような出来事を言うのだと理解しました。それはもしかしたら、小さな体験かもしませんが、小さなことが積み重なって、ある瞬間にがらりと世界の見方、関わり方が変わってしまう場合もあるでしょう。

そんな渡村さんから出された課題は、「地域を『体験する』プログラムをつくる」。会場となったのは静岡県藤枝市にある蓮華寺池公園。そもそも国が公園を制定するのは明治時代ですが、それ以前にも公園の原型はありました。「馬場」などがその一部ですが、蓮華寺池公園の場合には、慶長18年(1613)当時の3つの村が合同でつくった人口池がその原型になっています。

課題に取り組むにあたり、前半は、SACLABOのいわば地域との関係のつくり方や考え方と想いをレクチャーしていただきました。なかでも、その集大成である「藤枝おんぱく」の挑戦の歴史を通して、視点や仕掛けについて学びました。

後半は、蓮華寺池公園のマネジメント(パーク・マネジメント)、つまり蓮華寺池公園とその周辺地域を巻き込んだ体験プログラムをつくる、に挑戦しました。受講者は実際に公園を散策しながら(つまり自ら体験しながら)、個人でアイデアを練り、グループでも議論を重ねました。

結果、受講者からは、「チョークで描こう藤のみち」「藤の花の夜の図書館」「つながりで防災キャンプ」「マタニティーウォーキング」など19ものアイデアが提案され、更にブラッシュアップしていけば、現実にプランに採用されそうなアイデアも出ました。

公園をもっとたのしい場所・幸せが咲く場所にするためには、「やってはダメの公園」ではなく、「公民の連携で公園の維持管理」「ターゲットを明確に、リ・ブランディグ」「地域内経済の循環・地域外経済の流入」を三本柱に、経済と文化芸術が同時に動く仕組み(つまり新しい価値の生まれる体験)をマネジメントする必要性を強く感じました。

10月10日「美術Ⅶ」のワークショップを開催しました。

10月10日に、フィリピン出身で、静岡とも縁の深い彫刻家のウィルフリド・ゴンザレスさんを講師にお招きし、「思考を表すかたち、もの、ことば」というテーマで美術分野のワークショップを実施しました。
ゴンザレスさんは、「どんな人でも哲学的」とし、それを表すことこそアーティストの役割と指摘します。受講者に「日々の生活の原則」について問いかけ、一人ひとりが生きてゆく上で大切にしている「原則・価値観」を紙に書き出すよう促します。そしてそこから、2つの「原則・価値観」を選びだし、そのイメージ化を試みました。イメージの浮かばない人は、さしあたり言葉のままにとどめます。
続いてのワークショップは、「形・イメージを表す」というもので、ゴンザレスさんが、次々に言葉をなげかけ、その言葉から思い浮かんだイメージを紙に描いてゆくというものです。「空」、「風」、「家」、少し難しくなって「家を出た瞬間の風景」、「好きなこと」、「改善したいこと」、「夢」と続き、短いお題で2〜3分、長いもので20分ほどの時間が与えられました。受講者の頭の中にイメージが次々とわき上がっていることが、歓声や表情や手の動きから感じられます。そして、それらの言葉に触発されて描いた絵を、互いに見て回るところで前半が終了しました。
後半のワークショップはグループ活動です。グループは前半のワークショップで、似ているような絵を描いた人たちによって構成されました。そしてまず、ゴンザレスさんが表現者としての自らの歩みを語り、その時々の「思考」が、ラタンを素材とした彫刻として表現されていることが示されました。
そのような導入を経て、後半最初のワークショップで各自が抽出したそれぞれの「原則/価値観」を、グループ内で紹介しあい、グループとしてのテーマ決めを行いました。そのうえで再度、一人ひとりがそのテーマを受けとめて、それぞれにイメージを膨らませて形に表しました。
最後に、受講者は、会場に用意された様々な色のアルミ針金(直径2mm)の中から好きな色の針金を選び、それぞれのイメージを針金で立体化してゆきました。グループ内でのコラボレーションによって、ワークショップはクライマックスに。個々の造形をつなぎ合わせることで、皆がテーマを共有していること、またグループワークでありながらいつの間にか個性が引き出されていることを体感することとなりました。
ワークショップを通して、自分のなかで本当に大切にしている「原則・価値観」は何かを見つめ直すとともに、ここに参加した全員がそれを形に表す喜びを感じ、「思考」と「かたち・もの・ことば」が深く関係していることに気づくことができたように思います。

9/25、10/2「音楽Ⅲ」のワークショプを開催しました。

9月25日・10月2日は文化活動家でアーティストのアサダワタルさんをお招きし、「静岡のまちをCDアルバムにする」ワークショップを行いました。

第一回目の9月25日はペアワーク。七間町のスノドカフェに集合し、説明を聞いてからペアでまちに1時間の散策に出ました。その間、お互いの過去のことをインタビューします。インタビュイーは、まちのとある場所での記憶、自分の住んでいるまちと似た風景があれば、そのことについても話します。また、その間に頭に曲が浮かべば、その曲についても相手にお話しします。再度、カフェに戻り、お互いに聞いた話(相手の記憶)を7・5調の詩にします。

その日はそれぞれの人がまちの「どこ」で、その記憶に残る曲を思い出したか、発表してもらい、地図上で確認して終了しました。この日はまだ誰がどんな曲の記憶を持っているのか、明かされません。

 

二回目の10月2日は9時半に駿府城公園に集合。月曜の朝から公園に集う大人たちは少し不思議な風景です。

ここを起点に音楽を聴きながらの町歩きがスタートしました。先週のペアのインタビュアーは相手の思い出の曲が再生されると同時に、作った7・5調の詩を「前口上」として読み上げます。約3時間かけて19名の記憶の場所を歩いて周り、その記憶にまつわる曲を聴き続けました。

BGMでカーペンターズがリピートされる市役所前のカレー屋さんの前(開店前)で「Top of the world」、某ケーキ屋さんの元あった場所で、アルバイトしていた当時に流行っていた宇多田ヒカルの「Autmatic」、長男の生まれた日赤病院前でその年にヒットした「聖母たちのララバイ」、学生時代に通っていた喫茶店と似た雰囲気を醸す喫茶店の前でかぐや姫の「神田川」、七間町の元映画館のあった場所でE.モリコーネの「ニューシネマパラダイス」などなど・・・。

同じ場所でも時期によってあったものが違ったり、他の人の記憶がまた別の人の記憶に移植されたり、「記憶」と「場所」が複方向的に行き交い、重なり合っていく様が大変に興味深い時間でした。

街中で集団で音楽鑑賞をしている状況は、事情を知らない人から見ると異様な光景だったようです。怪訝そうな顔をして通りすがる人、一緒に1曲楽しむ人、何をしているのか尋ねてくる人、反応も様々でした。

10月2日「パフォーミングアーツ」のワークショップを開催しました。

10月2日、「パフォーミングアーツ」のワークショップを開催しました。
講師は、縄のまっちゃんこと、粕尾将一さん。粕尾さんはSkipping Ropes Artistとして、世界的に有名なサーカス集団シルク・ドゥ・ソレイユと専属契約を結び、5年間にわたり2500回の長期舞台を踏んだ人物です。

最初は、粕尾さんのデモンストレーションで始まりました。何回跳んでいるのか、どう跳んでいるのか、あまりにもスピーディーで、そうして軽やかで、初見では縄と体の関係を追いかけきれません。ただし、完成された美しい技であることは直感的にわかります。

さて、受講者によるワークショップですが、前跳びから始まり、徐々に高度な技に・・・と思いきや、確かにそうとも言えるのですが、個人の「技」を高めていくと言うよりも、二人、あるいは三人、最後は集団でおこなうことに重点が置かれました。そのなかで自分の不足している「技」についても気づけるのですが、それよりも、いっしょに体験する人たちの対話が想像以上に増えていることに気づかされました。そう、今回体験したのは縄跳びという「技のアート」を使った対話の場でもあったのです。

粕尾さんは言います。「縄跳びと舞台芸術を融合させていきたい」と。たんに競技にとどまることなく、つねに新しいジャンルと結びつくことで縄跳びのもつ可能性について模索されているその姿そのものをリアルタイムで目撃できたことも今回の大きな収穫でした。アートマネージャーとしても、縄跳びと他のジャンルを結び付けることで、新しい舞台芸術をつくるという宿題を頂いたようです。

 

9月19日「現代工芸」のワークショップを開催しました

9月19日に、現代工芸という位置づけで、浜松市在住のプロレスマスク職人の神谷淳氏を講師にお招きし、ワークショップ「仮面(マスク)をつくろう」を実施しました。

参加者には、アイデアを2〜3案を考えてくるという課題が出されていました。

教室には専用のミシン2台が持ち込まれています。台の上には、装飾的なパーツを取り付ける前の、しかし色とりどりのマスクの原型が人数分と、また装飾パーツの素材として多彩な布が並べられています。

まず導入として、静岡大学教育学部の芳賀正之先生に、近年のプロレス人気の高まりとその背景について説明があり、次いで、神谷講師から自身がマスク職人になった経緯、プロレスマスクの歴史・構造・作例について紹介がありました。

驚いたのは、作例として試合で使われた本物のマスクが持ち込まれ、実際に手に取ったり被ったりして、人気レスラーのイメージを凝縮・表現した、斬新なデザインを肌で感じることができたことです。

ワークショップは、マスクの正面と左右のデザインをワークシートに描くところからスタートしました。次に、それぞれのイメージに合った色のマスク原型を選び、目や口の位置を決め、また穴を空けたり切り抜いたりしてイメージを膨らませてゆきました。型紙に沿って切り抜いたパーツを接着剤でマスクに仮止めすることでマスクの姿が徐々に姿を現し、教室のあちらこちらで歓声が上がります。
仮止めしたパーツは、神谷講師とお弟子さんによって、またたくまにミシンで定着されてゆきます。そして更にパーツを加え、完成度を高めてゆきました。

最後の振りかえりでは、神谷講師から、プロレスマスク制作ということで、プロレスに親しみのない方々にどのように受けとめられるのか不安があったものの、受講者が思い思いのマスク制作を楽しんでいること、またその豊かな発想から大いに刺激を受けたとのコメントをいただきました。